商用車とは？導入方法や選び方・
おすすめモデルまで徹底解説
配送や移動販売、建設・工事などの事業で商用車は欠かせません。しかし、「どの車種を選べばよいか」「支払方法は何が有利か」など、導入時には多くの疑問が生じるものです。この記事では、商用車の導入を検討する人に向け、商用車とは何かを解説します。導入方法から選び方、おすすめモデルも紹介します。事業に最適なモデル選びの参考にしてください。
商用車とは
さまざまな自動車メーカーが商用車、あるいはビジネスカーという名称でクルマを販売しています。商用車には法的に明確な定義が存在しませんが、一般的には公務や事業活動で活用されるクルマが商用車と呼ばれます。
法的な観点では、道路運送車両法施行規則により、ほとんどのクルマは「乗用車」と「貨物車」の2つに区分されます。つまり、商用車として使用される車両にも、人の移動を主目的とする乗用車タイプと、荷物の配送を主目的とする貨物車タイプの両方が含まれています。
乗用車と貨物車の詳細な分類や特徴については、以降で詳しく解説します。
商用車に類似した言葉との違い
ビジネスシーンでは社用車や営業車という言葉もありますが、いずれも商用車の一種です。商用車と社用車、営業車との違いを解説します。
社用車との違い
社用車についても、商用車と同じく法律で明確に定められた定義は存在しません。一般的には、私用目的ではなく、法人や個人事業主が業務目的で保有・運用するクルマ全般が社用車と呼ばれます。
社用車のタイプは多岐にわたり、バンのような典型的な商用車をはじめ、コンパクトカーやセダンなどの乗用車も広く使われています。従業員の研修施設への送迎や社員旅行などで使用されるバスも社用車の一種です。
業務内容や具体的な目的によって、適した社用車のタイプは大きく変わります。
営業車との違い
営業車についても、法律で明確に定められた定義は存在しません。一般的には、社用車のなかでも特に外回りなどの営業活動に特化して使用されるクルマが営業車と呼ばれます。
営業車は、自社へ訪問される、逆にこちらから訪問する際にはお客さまの目につくため、ブランドイメージを左右する重要な役割を担っています。モデルの選定では、機能面や自社イメージに合ったクルマを選ぶようにしましょう。
乗用車と貨物車の違いも重要
クルマのおもなタイプである乗用車と貨物車の違いを理解し、業務内容や目的に合った商用車を導入しましょう。
使用目的・乗車定員
道路運送車両法施行規則において、乗用車と貨物車は使用目的によって明確に区分されています。乗用車については、人の輸送を基本目的とし、乗車定員が10人以下のクルマとして定義されています。
一方、トラックやバンといった貨物車は、物品の配送を主目的とするクルマとして位置付けられています。用途の違いを理由に、貨物車の方は荷物を効率的に運ぶための設計が特徴的です。
座席・設備
乗用車と貨物車では、座席や設備に関する設計思想が大きく異なります。乗用車は道路運送車両法施行規則で定められた保安基準を満たしつつ、乗員の快適性や利便性を重視して設計されます。
一方、荷物の積載・搬送が主目的となる貨物車については、作業性を重視した機能的なレイアウトを採用することが一般的です。
ナンバープレート
ナンバープレートの分類番号が、乗用車と貨物車では異なります。分類番号とは、地名の右側に記載されている3桁の数字です。
クルマのタイプと紐付く分類番号について、以下にまとめました。
| クルマのタイプ | 用途 | 分類番号 |
|---|---|---|
| 普通乗用自動車 | 乗用 (10名以下) | 3、30～39、300～399 |
| 普通乗用自動車 | 乗用 (10名以上) | 2、20～29、200～299 |
| 小型乗用自動車 | 乗用 | 5、50～59、500～599 7、70～79、700～799 |
| 普通貨物自動車 | 貨物の輸送 | 1、10～19、100～199 |
| 小型貨物自動車 | 貨物の輸送 | 4、40～49、400～499 6、60～69、600～699 |
車検・税金
車検の期間も、乗用車と貨物車では以下のように異なります。
| クルマのタイプ | 新車登録時 | 以降 |
|---|---|---|
| 自家用乗用自動車 | 3年後 | 2年ごと |
| 車両総重量8t以上の貨物自動車 | 1年後 | 毎年 |
| 車両総重量8t未満の貨物自動車 | 2年後 | 毎年 |
自動車税については細かく種別がありますが、一般的には乗用車より貨物車の方が安い傾向です。詳しくは以下で確認してください。
商用車を選ぶ3つのポイント
自社に適した商用車を選ぶポイントを3つ紹介します。ビジネスの用途に応じて、荷室容量や乗車定員数、車両サイズ、燃費や維持費を比較して決めましょう。
また、今だけでなく、将来人を採用するビジネスを拡大し、新規事業にも進出するなど、具体的な計画があれば、そちらも考慮した上で車両は決定するのが良いでしょう。
荷室容量・乗車定員数
荷物の配送がメインとなる場合は、十分な荷室容量を確保できるクルマを選びましょう。どのメーカーも、商用車には積載量などが記載されています。
例えば、日産自動車クリッパーバンの場合、メーカーサイトから目安の積載性を確認することができます。
出典：https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/clippervan.html
また、メーカー発行のカタログから商用車であれば積載量も確認することが可能です。
出典：https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/clippervan/function.html
一方で、従業員の送迎や顧客の輸送をおもな用途とする場合は、先ず確認すべき所は乗車定員数です。大人数での移動が想定される場合は、人数に合わせて日産セレナやエルグランドなどのミニバンや日産NV200、キャラバンなどのワゴン車、さらには日産キャラバンのマイクロバスタイプのクルマも検討できます。
車両サイズ
車両サイズの選定では、実際の走行エリアや使用環境を十分に考慮しましょう。狭い路地や住宅街での走行が多い場合は、小回り重視で例えば乗用車なら日産ノート・オーラ、商用車ならクリッパーバンなどの小型車両を選ぶことがおすすめです。また、高速道路での長距離移動が中心となる業務では、走行時の安定性や乗り心地を考慮して大型車両の方が適しています。
また、立体駐車場の利用や天井の低い倉庫での作業が想定される場合は、車高制限への対応した車両選びを心がけましょう。
燃費・維持費
商用車の運用において、ランニングコストは収益性に直結する重要な要素といえます。「どのタイプが最も経済的か」ではなく、走行距離や使用頻度、運行ルートなどの具体的な条件を踏まえた総合的な判断が求められます。
現在はガソリン車・ディーゼル車、ハイブリッド車、電気自動車、プラグインハイブリッド車など様々な動力タイプが用意されており、それぞれの燃費をはじめとする特性を理解し、自社に最適なタイプを選びましょう。
例えば、全世界的にシフトしている電気自動車であれば、事業所で充電が出来ればガソリン車と比べて電気代は相当に安くなる上、給油の手間が省けますし、加速が良いので多くの乗客・荷物を運ぶ場合は、電気自動車という選択肢も考えられます。
一方で、一日に数百キロなどの長距離を運転する場合は、化石燃料車に分があります。
事例：日産サクラと軽自動車の燃費比較(5年間)
- ※日産自動車作成
加えて、安定した事業継続に向け、自動車税や保険料、定期点検費用といった継続的な維持費についても、事前に把握した上で総合的にコストを考慮する必要があります。
商用車の主な導入方法は3つ
商用車の主な導入方法は、現金払い、ローン、カーリースの3つです。それぞれの概要とメリット・デメリットを解説します。
現金払い
現金払いは、クルマを一括で購入する方法です。資金に十分な余裕があり、長期的なコスト削減を重視する場合は、現金払いが適している可能性があります。
現金払いは金利が発生しないため、長期的な観点から見ると総支払額を最も抑えられます。また、ローンの審査手続きが不要となるため、迅速な車両導入が可能です。加えて、車両の所有権も持つことが出来るため、好きな時に売却する事が出来ます。
一方、購入時にまとまった初期資金が必要となるため、資金繰りに与える影響は少なくありません。また、購入したクルマは固定資産として計上され、数年間にわたって減価償却費として段階的に処理されます。購入年度に一括で経費計上できないため、即座に大きな節税効果を得られません。
ローン
ローンは車両代金を一定期間にわたって分割で支払う購入方法です。手元の資金を急激に減らしたくない場合や、長期的に同じクルマを使う予定がある場合には、ローンが適している可能性があります。ローンは初期段階でまとまった資金を準備する必要がないため、手元の運転資金を温存しながらクルマを導入できます。
一方で、金利負担が発生するため、長期的な視点で比較すると総支払額は現金払いよりも高額です。また、返済期間中はクルマにローン会社の所有権留保が設定される場合が多く、売却や譲渡を行う際にローン会社からの承諾が必要です。そのため、事業環境の変化で急遽クルマを手放す必要が生じても、自由に処分できません。
また、現金払いと同様に、ローンで購入したクルマも固定資産として計上され、減価償却により段階的に経費化されます。
カーリース
カーリースは、商用車の導入にあたり、広くおすすめできる方法です。
カーリースでは初期費用が不要となるため、まとまった資金を用意する必要がありません。更に、契約終了後の残価を差し引いた費用のみを、契約期間で支払うため、月額の支払いも安くなります。
出典：https://www.nissan-fs.co.jp/carlease/business.html
月額料金にメンテナンス費用を含むことも可能であるため、予期しない修理費用や部品交換費用による突発的な支出の心配も不要で、毎月一定の支払いで済みます。
また、車検費用や各種税金、定期点検などの維持管理業務を代行してもらえるプランも充実しているため、車両管理にかかる事務負担を大幅に軽減できるのも大きなメリットです。
特に社用車が複数台ある企業には、管理工数削減なども含めてリースが適していると考えます。
さらに、毎月のリース料金を全額経費計上できるため、複雑な減価償却計算が不要となり、会計処理を簡素化できます。
商用車を導入する際の注意点
商用車を導入する際の注意点を紹介します。自動車保険上のルールや、万一事故を起こした際の懸念事項を理解しておきましょう。
個人向けの自動車保険には入れない
商用車を導入する際に注意すべき重要なポイントとして、保険の契約形態があります。商用車は個人向けの自動車保険に加入できません。クルマをビジネス目的で使用した際にトラブルが発生した場合、個人用の自動車保険では適切な補償が受けられない可能性があるためです。
法人向け自動車保険には、フリート契約とノンフリート契約の2つの形態があります。フリート契約は10台以上のクルマを一括で管理する契約方式で、1台当たりの保険料を低く抑えることが出来ます。ただし、1台でも事故を起こすと契約全体の保険料が上昇する可能性がある点が懸念点といえます。
ノンフリート契約は、クルマ1台ごとに個別に契約を結ぶ方式です。事故が発生した場合の保険料上昇は該当するクルマに限定されますが、フリート契約と比較すると保険料が割高な傾向が見られます。
個人事業主の場合
個人事業主は、商用車の自動車保険を法人用・個人用から選択できます。ただし、個人用の自動車保険を選ぶ際には、契約時に使用目的を登録しなければなりません。使用目的を「業務用」として登録するには、業務での使用が月の半分以上という条件があります。
個人向けの自動車保険は法人用に比べて割安なことが多い反面、リースカーでの補償を受けられる「リースカーの車両費用特約」や商品や備品損害が補償される「事業用積載動産特約」といった法人用の特約がつけられません。総合的に見て、どちらがお得かを見極めることも重要です。
事故を起こした際の扱いに注意する
商用車が事故を起こした場合、事故のタイミングにより責任の所在が変わる点に注意が必要です。
業務時間中に事故が発生した場合は、事故を起こした従業員本人だけではなく、雇用主にも法的責任が生じます。これは使用者責任や運行供用者責任と呼ばれる制度で、クルマを事業に使用している以上は免れません。被害者への損害賠償について、従業員本人と雇用主が連帯して責任を負う可能性があります。
一方、業務時間外に発生した事故については、原則として事故を起こした従業員本人のみが責任を負います。
おすすめの商用車モデル6選
おすすめの商用車として、モデル6種類を紹介します。日産自動車は幅広いラインアップをそろえており、営業活動や送迎、配送など、用途に応じたクルマ選びの参考にしてください。
【バン】キャラバン
キャラバンは、10尺モノが入る、小型貨物車4ナンバーバンクラス最長（2025年7月現在日産調べ）の荷室が特徴です。ロングホイールベースによって、荷室長はクラストップの3055mmを誇ります。荷室長にゆとりがあるため、脚立やパイプ類など長尺の荷物も積み込み可能です。
スライドドアからバックドアまでの長さも1600mmを確保しており、壁面も可能な限りフラットな形状なため、長い棚の設置もできます。ホイールハウス上面の形状は水平なので、棚板などを安定して置けるのも特徴です。
荷室が長いだけではなく、荷室高（1325mm）と荷室幅（1520mm）にも余裕があるため、十分な積載力があります。荷室開口高と開口幅も最大限に確保されているので、積み込みやすさを実感できるでしょう。
- ※標準幅 標準ルーフ車に比べ、バン ワイドボディは全幅＋185mm、全高＋295mm。より力強いフォルムで存在感を主張します。
出典：https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/caravan/specifications/microbus_widevan.html
圧倒的な積載性ばかりではなく、全車標準の先進運転支援技術が前方・側方・後方の安全運転をアシストします。進化したインテリジェント エマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト、ハイビームアシストなどを装備しており、毎日の業務を安全面で支えます。
【バン】NV200バネット
NV200バネットは、排気量1.8L未満のキャブオーバーバン登録車クラスにおいて、「荷室高」「荷室幅」「床面地上高」No.1（2022年9月現在 日産調べ）を実現しました。スタイリッシュなフォルムですが、荷室容積が3550Lあり、積載量はA4コピー用紙箱163個分に相当します。
荷室は高さがあり、ホイールハウス間が広いので、空間を大きく自由に使えるのも特徴です。床が低いため、乗り降りの負担が軽減されるだけではなく、重い荷物でもスムーズに積み込めます。コクピット収納の総容量は36Lあるので、必要なビジネスツールが余裕で収まるでしょう。使い勝手に合わせてさまざまな収納類を設定することも可能です。
積載量や使いやすさはもちろん、インテリジェント エマージェンシーブレーキやハイビームアシストなど、先進安全装備も充実しています。
【バン】クリッパーバン
クリッパーバンは、軽商用バンながら優れた積載性と運転のしやすさを両立したクルマです。広々とした荷室サイズが特徴で、パンケースなら74ケース、ビールケースなら40ケースが搭載可能です。ボディサイドパネルを立てた箱型デザイン、フラットな荷室床面、バックドアの開口幅の広さなどによって、積み込みや積み降ろしの作業がスムーズに行えます。
- ※広々とした荷室サイズ*³（長さ*⁴、幅*⁵、高さ*⁶）だから、パンケースの他、ダンボール、タタミなどの平らな物など、さまざまな形状の荷物を効率よく積載できます。
出典：https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/clippervan.html
優れた取り回し性で運転がしやすく、もしもの時に対応する多彩な先進安全装備を搭載しているのも特徴です。以下の採用によって「サポカーS ワイド」に該当する衝突被害軽減ブレーキの性能認定車でもあります。
- ・衝突被害軽減ブレーキ
- ・ペダル踏み間違い時加速抑制装置
- ・車線逸脱警報
- ・自動切替型前照灯など
【バン】日産クリッパーEV
日産クリッパーEVは、電気自動車というビジネスの新常識に対応しています。商用車市場でも急速に高まる電動化へのニーズに対応する目的で、2024年2月に市場投入されました。
店舗では普通充電し、出先では急速充電するなど、シーンに合わせた充電が可能です。ガソリン代はゼロなので、電力会社のプランによっては、夜間時間帯の充電で電気代を抑えることも期待できます。
大容量の荷室は、ビールケースなら36ケース、パンケースなら72ケースといった積載量を誇り、コンパネの平積みなどフレキシブルに使えるのも特徴です。さまざまな形状の荷物を効率良く積み込めます。
荷室にはユーティリティーナットを10箇所に標準装備しているので、フックやレールを装着するなどのカスタマイズが可能です。インテリジェント エマージェンシーブレーキなどの先進安全装備も搭載しています。
【トラック】アトラスF26 2tクラス
アトラスF26 2tクラスは、AT限定運転免許にも対応している9速デュアルクラッチ式AMT（DCT）です。デュアルクラッチとクロスレシオの組み合わせで、運転のしやすさを実現しました。
ふらつき運転や車線逸脱による事故の抑制に貢献するレーンキープアシスト（LKA）、停止/発進まで含め、全車速域に対応する全車速車間クルーズ（FACC）、早めに注意を促す車間距離警報など、先進安全・運転支援技術を大幅に拡充し、安全な運行をサポートします。
動力性能においては、高性能エンジンによる優れた燃費効率を実現し、次世代の2025年度燃費基準にもいち早く対応済です。
【バス】キャラバン マイクロバス
キャラバンシリーズは商用バンに加え、マイクロバスやワゴンといった多様な車種展開を行っています。キャラバン マイクロバスは、乗り降りのしやすさと、乗り心地の良さにこだわった14人乗マイクロバスです。ホテル・旅館・介護施設など、幅広いビジネスシーンで活躍します。
ハイルーフ仕様の特徴を活かしたスライドドアは、1580mmの開口高を確保しました。長身の方でもスムーズに乗り降りでき、荷物を持っている場合でも余裕を感じられる高さです。シートのクッション幅は905mmのゆったりサイズなので、長時間乗っても疲れにくく、座り心地の良さを実感できるでしょう。
まとめ
商用車は業務内容や目的に合わせて選びましょう。荷室容量や乗車定員数、車両サイズ、燃費や維持費を比較することが、適したクルマを選ぶポイントです。
日産自動車ではおすすめの社用車が多くあり、購入から業務の効率化までバックアップしています。法人向け提案実績が豊富であり、2,000店舗以上の体制をもとに全国どこでもサポートが可能です。購入後のメンテナンスサポートも充実しているため、社用車の導入・車両入れ替えをご検討の際は、お気軽にお近くの日産の販売店にご相談ください。
法人のおクルマに関すること、お気軽にご相談ください