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【2025年最新】今後EVシフトはどうなる?日本と海外の現状や直面している課題や
企業メリットについて解説

近年、自動車業界では環境問題への意識の高まりとともに、従来のガソリン車から電気自動車(EV)への転換が世界規模で加速しています。
しかし、日本国内では普及が思うように進んでいないのも実状です。

この記事では、この大きな変化を意味する「EVシフト」について、その現状や企業が取り組むメリットなどを解説します。

EVシフトとは?

EVシフトとは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載した従来の内燃機関車から電気自動車(EV)への転換を進める世界的な動きのことです。
この変化は単なる技術革新にとどまらず、仮にEVシフトが進み、EV車だけが走る世界が実現すれば、走行時の二酸化炭素排出量はゼロになります。

この転換は、自動車メーカーの製品戦略や技術開発の方向性を大きく変えています。
今、多くの自動車メーカーが電動化技術への投資を加速させ、新たなバッテリー技術や充電インフラの開発に注力しています。また、これにともない自動車関連産業全体に変革の波が広がり、産業構造の再編が進んでいます。

EVシフトは単なる環境対策ではなく、次世代のモビリティ社会実現に向けた包括的な変革として位置づけられており、自動車産業の今後の発展に影響を与える重要な動きとなっています。

EVシフトが注目されている背景

地球温暖化対策や脱炭素社会実現に向けた国際的な動きが加速するなか、EVシフトは世界的に注目を集めています。パリ協定に代表される国際的な気候変動対策の枠組みでは、世界の平均気温上昇を今後2度未満に抑える目標が掲げられ、各国が具体的な環境規制を強化しています。

企業活動においても、温室効果ガス(GHG)の排出を削減することは不可欠の取り組みです。
排出量はスコープ1(自社の直接排出)、スコープ2(購入電力などによる間接排出)、スコープ3(サプライチェーン全体の間接排出)の3カテゴリで管理されており、このなかで社用車・営業車のEV化は、企業が直接コントロール可能な「スコープ1」として高い効果を発揮することが期待されています。

計画立案から実行までが比較的容易であることから、具体的な脱炭素戦略として取り入れる企業が増えてきています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは」

EVシフトは、単に社会的責任を果たすだけでなく、企業のサステナビリティ戦略における実践的かつ即効性のある施策として、その重要性がますます高まっていくと予想されます。

日本は遅れている?国内外のEVシフトの現状

近年、電気自動車(EV)への転換が世界的に加速するなか、「日本のEVシフトは他国に比べて遅れている」との指摘が頻繁に聞かれます。
そこで、ここでは日本国内におけるEVの普及状況や、世界のEV普及の実態について見ていきましょう。

日本の普及率や動向

2025年6月の国内EV・PHEV市場は新たな成長フェーズに入っています。 新車(国産の乗用車)販売シェアは2.04%に達し、前年同月(2024年6月)の1.43%から着実に0.61ポイント上昇しました。この伸びは、市場の堅調な拡大を示しています。

出典:一般社団法人日本自動車販売協会連合会「燃料別メーカー別登録台数」

日本においては、日産自動車がEV市場における先駆的存在として重要な役割を果たしてきました。世界初の量産型EVとして2010年に「リーフ」が販売され、EVの大衆化に貢献。2022年には軽EVである「サクラ」が日本国内で大ヒットするなど、EV界のリーダー企業として市場を牽引しています。

こうした日産自動車の取り組みに加え、近年では他の国内自動車メーカーも次々と新型EVモデルを投入し始め、消費者の選択肢が広がりつつあります。この多様化により、今後の国内EV・PHEV市場はさらなる活性化が期待されています。

また、国内では政府による積極的な支援もEVの普及を後押ししています。
例えば、EVの購入やEV用の充電器の設置を促進するために「CEV補助金」などの補助金制度が導入されています。また、乗用車の新車販売に関しては2035年までに電動車100%の実現を目指す目標が掲げられています。

加えて、2025年以降は多くの自動車メーカーが新型EVの市場投入を予定しています。これにより国内EV市場は再活性化が期待されており、EVシェア拡大への新たな局面を迎える可能性があります。

出典:経済産業省「自動車・蓄電池産業」
出典:一般社団法人次世代自動車振興センター

海外の普及率や動向

世界全体の新車販売におけるEV比率は、2024年に約22%に達しました。新車販売台数は2024年に約1,750万台(前年比25%超)となっています。

国別の普及率を見ると、ノルウェーが約92%で首位、次いでスウェーデン、デンマーク、フィンランドとヨーロッパ諸国が上位を占めています。EU全体でも約21%の普及率となっており、EVシフトが進んでいます。

一方、EVの販売台数と保有台数では中国が世界をリードしており、2024年の販売台数は約1,130万台(世界シェアの3分の2)、保有台数は約3,400万台に達しています。普及率も48%と高く、EV大国としての地位を確立しています。
対照的にアメリカのEV普及率は8~10%程度にとどまっています。これはガソリン車の根強い人気やガソリン価格の安さ、長距離高速走行の多さが要因として考えられています。

なお、世界の公共EV充電インフラは約540万台まで拡充されており、EV普及を支える基盤の整備は着実に進んでいます。

各国はEV普及を加速させるため、さまざまな政策を展開しています。
中国では、EV産業を国家戦略と位置づけ、2027年までに新エネルギー車の販売比率を45%に高める目標を発表。大規模な補助金、税制優遇、国産化支援などを展開しています。
欧州では、EU全体で2035年までに新車販売のゼロエミッション義務化を掲げ、脱炭素方針を堅持しています。

こうした政策により、2025年から2030年にかけてCO2排出規制は一層厳格化され、EVのシェア拡大が予想されます。

出典:IEA(国際エネルギー機関)「Global EV Data Explorer」
出典:IEA(国際エネルギー機関)「Global EV Outlook 2025-Trends in electric car markets」

EVシフトで語られる課題と解決策

EVシフトが思うように進んでいない背景には、充電インフラの整備不足、航続距離への不安といった課題が挙げられています。
これらの課題に対しては、企業の技術革新や政策支援によるさまざまな解決策が提示されていますが、あらためてその課題を整理してみましょう。

EVの製造過程で温室効果ガスが発生する

カーボンニュートラルの実現は、単純なEVシフトだけでは不十分とされています。
EVの製造過程ではバッテリー生産や車体製造において大量の温室効果ガスが発生するため、車両のライフサイクル全体でのCO2削減が重要な課題となっています。

この課題に対し、各自動車メーカーはCO2削減に向けた積極的な取り組みを進めています。
例えば、CO2削減効果の高いアルミニウムやカーボンファイバーなど環境に配慮した素材を採用したり、製造工程で再生可能エネルギーを活用したりするケースもあります。また、EV用バッテリーのリサイクル技術の開発も進んでいます。

EVの製造から廃棄に至るまでの全工程でCO2排出量を最小化するためには、こうした包括的なアプローチは不可欠です。

製造コストが上昇している

一般的にEVは従来の化石燃料ベースの自動車よりも製造コストが高くなる傾向にありますが、状況は徐々に改善しています。

近年は世界情勢の変化によりバッテリーに使用されるリチウムやコバルトなどの希少金属の価格が一時高騰しました。しかし、最近ではリチウムの原材料価格が落ち着きを見せ始めており、原材料価格の変動に左右されにくい新型電池材料の開発も進んでいることから、将来的なコスト低減が期待されています。

この製造コストの高さは車両価格にも反映されており、一般的なガソリン車との価格差が依然として消費者にとってEV購入の障壁となっています。

こうした価格面での購入ハードルを下げるため、政府や自治体は補助金制度を整備しています。さらに、企業向けの商用EVに目を向けるとリースやサブスクリプションサービスも活用できるため、初期投資を大幅に抑えることが可能です。
これらの制度を活用すれば、EV導入のハードルは想像以上に低くできるでしょう。

ガソリン車と比べてEVの選択肢が少ない

EVはガソリン車と比べて車種が少ないため、選びづらいという声も聞かれます。

しかし、近年の状況を見ると、法人・個人向けともにさまざまなEVが次々と登場しています。軽自動車からSUV、高級セダンまで、幅広いカテゴリでEVの選択肢が増えている状況を考慮すると、選択肢不足は一時的な状況といえるでしょう。
今後はさらに多様なニーズに応えるモデルが提供されていくと考えられます。

航続距離や電欠のリスクが懸念されている

航続距離や電欠のリスクが懸念されているEVですが、実際の運用では大きな問題となるケースは限られています。
ガソリン車では500km以上の航続距離が一つの目安とされていますが、EVは車種によって200kmから600kmまで航続距離はさまざまです。

特に社用車として利用する場合、1日の走行距離は限定的であることが多く、航続距離が気になるケースはほとんどありません。さらに、自宅や職場に充電設備があれば、必要なときに充電できる環境が整うため、電欠のリスクは限りなく低減され、安心してEVを利用することができます。

EV充電のインフラ整備が追いついていない

EV充電のインフラ整備が追いついていないことを、EVシフトの課題に挙げる人もいます。

実際、2024年3月末時点で、全国のガソリンスタンドは2万7,414ヵ所ある一方、EV用急速充電器は約1万2,000口設置されています。

こうした状況を踏まえ、政府は2030年までに充電インフラを30万口整備する方針を掲げており、そのなかには公共用の急速充電器3万口も含まれています。さらに、近年は多様な事業者がEV充電サービスを提供しており、充電の利便性やアクセスのしやすさは年々向上しています。

ただし、目的地や経路での充電は数が増えたとしても、利用が集中するエリアでは充電渋滞が発生する可能性があります。

そのため近年では、自宅での充電を基本としつつ、職場での充電も重要な手段となりつつあります。この職場充電(WPC:Workplace Charging)は外部インフラに依存せずEVの運用を可能にし、企業のEVシフトを加速させる効果が期待されており、また、従業員の通勤におけるEV活用も促進されるでしょう。

こうした、充電設備の設置には、国や地方自治体の補助金が活用できるため、多くの企業で導入が進んでいます。

出典:経済産業省「充電インフラ整備促進に関する取組」
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「令和5年度末揮発油販売業者数及び給油所数を取りまとめました」
出典:経済産業省「日本のEV充電の状況と課題」

EVシフトが進む今、企業が取り組むメリットは?

電気自動車への転換が加速する今、企業にとってEVシフトへの対応は単なるトレンドではなく、将来の競争力を左右する重要な戦略ともいえます。
環境規制の強化、消費者意識の変化、技術革新の波に乗り遅れることなく持続可能な成長を実現するために、EVシフトのメリットをしっかり把握しておきましょう。

経費削減が期待できる

EV導入は企業にとって大幅な経費削減効果をもたらします。
最も大きな削減効果は燃料費で、ガソリン車は1kmあたり約8.3円(燃費20km/L、ガソリン価格166円/L想定)であるのに対し、EVは約2.86円(電費20Wh/km、電気料金25.71円/kWh想定)と、約3分の1のコストで済みます。年間9,600km走行する場合、燃料費だけで約5万2,000円の節約が可能です。

さらに、総務の業務効率化も期待できます。ガソリン代手当を電気の現物支給や充電カードに切り替えることで、従業員一人ひとりの通勤手当の計算や支払管理といった事務処理工数が大幅に削減されます。
加えて、EVはエンジンオイル交換などのメンテナンスが不要なため、維持費のコストカットも見込まれます。

WPC(職場充電)が福利厚生の充実につながる

WPCの導入は企業のEVシフトを加速するだけでなく、従業員への重要な福利厚生としての価値を持ちます。職場で安心して充電できる環境を提供することで、従業員の通勤時の電欠リスクを大幅に軽減できます。また、自宅や周辺に充電設備がない従業員にとっては、職場での充電が唯一の充電手段となる場合もあります。

このように、WPCは従業員の働きやすさを向上させ、企業への満足度や定着率の向上にも寄与する、現代的で実用性の高い福利厚生制度といえます。

資金調達や人材獲得の面で有利にはたらく

CO2削減に向けたEVシフトは、企業の競争力強化に直結する重要な経営戦略となっています。

例えば、企業としてEVシフトに取り組むと、環境配慮を重視する投資家からの評価が向上します。その結果、ESG投資の獲得が容易になり、従来よりも有利な条件での資金調達につながる可能性があるでしょう。

人材確保においても、持続可能な社会への貢献を重視する優秀な人材からの注目を集めることができます。特に若い世代の求職者は、環境問題への取り組みを企業選択の判断基準としているケースも少なくありません。

「走る蓄電池」として地域貢献ができる

EVは「走る蓄電池」として地域への貢献にも期待されています。

例えば、災害時には非常用電源として活用でき、BCP対策にも効果を発揮します。
実際、2019年の台風15号ではある企業がEVを被災地に派遣し、福祉施設などに電力を供給したことで話題になりました。

日産自動車でも、地方自治体と連携し、災害時にEVを派遣して電力供給をおこなうなどの支援活動を積極的に展開しています。さらに、平時においても地域イベントでEVから給電をおこなうなど、「走る蓄電池」としての特性を活かした地域貢献に取り組んでいます。

このように、EVはすでに新たなインフラとして地域社会の防災力向上と持続可能な発展に貢献し始めています。

参考:日産自動車ニュースルーム「目黒区と日産自動車、日産東京販売、電気自動車を活用し脱炭素化促進と強靭化に向け連携」
参考:日産自動車 中部「清州城「きよすイルミ2024」点灯式にて イルミネーションの一部をアリアから給電。」

まとめ

EVシフトは、環境負荷軽減と経済性の両立を実現する重要な取り組みです。
技術革新によるEVの航続距離の向上や政府による充電インフラの拡充が進んでおり、今後より安心してEVを利用できる環境が整っていくでしょう。

一方、EVシフトは企業にとって、コスト削減や企業のイメージアップにつながり、導入には環境への貢献だけではない多くのメリットがあります。特に、近年は職場充電(WPC)への関心が高まっています。WPCの推進が全社的なEVシフトを促進し、企業の脱炭素経営をさらに後押しすることが期待されています。

日産自動車では、法人のお客さま向けにWPCの導入サポートを含め、さまざまなEVソリューションをご提案しています。詳しくは法人向けサイトのお問い合わせページよりぜひごお問い合わせください。※フォームのご相談内容“その他”よりご記入ください。

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