軽商用車とは?
特徴とメリット・デメリット、選び方を徹底解説
商用車として軽バンや軽ワゴン、軽トラックなどを業務に活用する人が増えています。この記事では、軽商用車の種類をはじめ、メリットやデメリット、活用例・選び方などを解説し、軽商用車としておすすめの3つの車両を紹介します。ぜひ軽商用車選びの参考にしてください。

軽商用車とは

軽商用車とは、ビジネス目的で使用される軽自動車のことを指します。そもそも商用車とは、業務用に使用される車両全般を指し、配送・営業・移動販売などさまざまな用途で活用されるクルマです。
ただし、商用車に明確な法律上の定義はなく、実際には「ビジネスカー」や「営業車」などと呼ばれることもあります。自動車の分類上では「乗用車」と「貨物車」に大きく分かれますが、商用車の多くは荷物の運搬を目的とした「貨物車」に該当します。
軽商用車は、ビジネスの現場で実用的に使える車両として、多くの法人や個人事業主に選ばれています。
軽商用車の種類
軽商用車として一般的に使われる軽自動車は、大きく分けて以下の3種類があります。それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
軽バン

軽バンとは、貨物などの荷物の輸送をおもな目的としています。箱のような形状をしており、荷室が広いことが特徴です。荷物を多く積載できるだけではなく、荷物の出し入れもしやすくなっています。
小型で経済的な商用車として、都市部や狭い道路での運転にも便利な車両です。
頑丈なサスペンションを採用していることが多いため、重い荷物を積んでも積載可能な範囲内であれば安全に走行できます。配達や移動販売に適しており、宅配便などの事業用に使われることも多い車種です。シートを調整すれば長い荷物も積めます。
軽トラック

「軽トラ」の愛称でおなじみの軽トラックは、軽自動車の規格に合わせて作られた小型トラックです。普通免許を持っていれば運転できます。荷台が開放された構造なので、荷物の積み降ろしがしやすく簡単です。
もともと軽トラックは、田畑などで走行することを想定して作られています。小回りが利きやすく、荷台が汚れても水で洗えることがメリットです。農作業や建設業に適しています。
ただし、荷台に屋根がなく天候が悪いと荷物が濡れたり汚れたりする点はデメリット*です。また、軽トラックの定員は2名で、シートが倒せないクルマが多いので長時間の運転には向いていません。オプションで、屋根を後付けできるケースもあります。
軽ワゴン

軽ワゴンとは、軽自動車の規格に収まるボディサイズ内に、ワゴンタイプの広い室内空間や使い心地の良さを兼ね備えた車種です。乗用車並みの快適さで荷物も運べるクルマとして人気を博しています。加えて、経済的な燃費性能を実現しているため、人気のある車種です。用途や形状は軽バンと似ていますが、車内構造や安全基準が異なります。
軽バンは荷物の輸送をおもな目的としています。しかし、軽ワゴンは人を運ぶことを目的に作られているのが特徴です。軽バンは荷物の輸送がおもな目的なので、後部座席が1列のことが多いですが、軽ワゴンは3列シートなど、乗り心地が重視されています。そのため、営業やサービス業におすすめです。
軽商用車のメリット

軽バン、軽トラック、軽ワゴンなどの軽商用車を商用車として活用すれば、以下のようなメリットを得られます。
コストパフォーマンスに優れている
軽自動車に区分される軽バンは、普通車よりも比較的安く購入できます。さらに、次パートで解説しますが、普通自動車よりも税金が安く設定されています。維持費や保険料も安いため、コストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。予算に限りがある場合は、効率的に運用できる点で魅力的です。
荷物が多く積み込めるため、燃費が悪いイメージがあるかもしれません。しかし、軽自動車なので、普通車よりもガソリン代が安くなることが多く、燃費性能に優れた車種も多いのでコストパフォーマンスの良さを実感できるでしょう。
税制上の優遇がある
軽商用車は、普通車に比べて自動車税や重量税が安く設定されており、大きな経費削減効果が期待できます。さらに、自家用か営業用かによっても税額が異なり、営業用の方が税制上の優遇を受けられます。
たとえば、軽バンの場合、自家用では年間5,000円ですが、営業用なら3,800円とさらに安くなります。軽ワゴンでは、自家用が10,800円に対し、営業用は6,900円と大きな差があり、事業用として導入する際のコスト面でのメリットは非常に大きいといえるでしょう。
小回りが利く
軽自動車は車体サイズがコンパクトに設計されているため、小回りが利くという特徴があります。特に都市部の混雑した道路や、住宅街のような道幅の狭い場所でもスムーズに走行できることが大きな利点です。
また、駐車場でも切り返しの回数を減らせるため、狭いスペースへの駐車もスムーズに行えます。運転や駐車に自信がない方や、初心者ドライバーにとっても操作しやすく、取り回しの良さが安心感につながります。
さらに、最小回転半径が小さい車種が多いため、狭い交差点や曲がり角でもストレスなく曲がることができ、業務での効率的な移動をサポートします。
荷室が見た目以上に広い
荷物の積みやすさは、最大の魅力といってもよいでしょう。広くてフラットな荷室には、大きな荷物も積み込めます。シートをアレンジすれば、長い荷物を積み込むことも可能です。
軽バンは多くの荷物を積み込めないというイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、軽バンは貨物車としての条件を満たしている必要があるため、荷室は見た目以上に広く、実際に荷物を積んでみるとメリットを感じられるでしょう。
視界が広く運転しやすい
軽商用車はフロントガラスが大きく、車高も比較的高めに設計されているため、運転中の視界が広く、周囲の状況をしっかりと把握しやすいメリットがあります。視認性の高さは、運転に慣れていない人や初心者ドライバーにとって大きな安心材料となり、緊張せずに運転できるでしょう。
さらに、車高のあるタイプを選べば、より広い視野を確保でき、遠方の交通状況も見渡しやすくなります。前後方のカメラや障害物センサーなどの運転支援機能が搭載されたモデルもあり、日常業務でも安心して使用できます。
軽商用車のデメリット

軽商用車には多くのメリットがあります。しかし、以下のようなデメリットがあることについても知っておくことが大切です。メリット・デメリットを把握したうえで、業務にマッチしたクルマを選びましょう。
パワー不足を感じることがある
軽商用車は燃費の良さにメリットを感じる一方で、エンジンパワーが普通車よりも劣ってしまうというデメリットもあります。軽自動車のエンジンは660cc以下と規格で定められています。
荷物を積めば積むほど車両重量が増えるので、重い荷物をまとめて運ぶ際には、加速力が落ちるなどパワー不足に感じることがあるかもしれません。もしも走行時のパワー不足が気になるという場合などは、ターボエンジン搭載の車両を選ぶのもよいでしょう。
乗車人数が限られる
軽バンや軽ワゴンの乗車人数は法律で原則4名、軽トラックは2名までと定められており、乗車人数に限りがあります。そのため、同乗者が多い場合は窮屈に感じたり、荷物と人を同時に乗せると手狭に感じたりすることがあるでしょう。
特に、複数人で現場へ向かう作業チームの移動や、送迎を目的とする場合には不便さが出やすくなります。こうしたケースでは、最大7人乗車が可能なミニバンタイプの車両を選択することで、快適かつ効率的な移動が可能になります。
座席に快適さを感じにくい
室内をコンパクトに設計しているため、シートのホールド性やサポート性はやや劣る傾向にあります。荷物を積むことを重視した車両はシートの厚みが薄めに作られていることもあるため、路面の凹凸を拾いやすくなり、振動が体に伝わりやすくなるケースもあります。
また、荷物を積むことを想定しているため、汚れに強い素材を使用することによって通気性が悪く、蒸れやすいと感じるケースもあるでしょう。普通車に比べるとリクライニングの角度やシート高の自由がききづらく、長時間乗車していると疲れてしまうこともあります。
購入・リースを検討する際は、実際にシートに座って乗り心地に問題がないかを確認するのがおすすめです。
軽商用車の活用例
軽商用車は、さまざまなビジネスシーンで活用されています。こちらでは軽商用車の活用例を業種別に解説します。
配送業

配送業は、迅速な配達が求められます。しかし、住宅街や狭い道などを走行することも多いため、小回りの利きやすさや、駐車のしやすさがクルマ選びの重要なポイントになります。そのため、コンパクトで小回りの利く軽バンがおすすめです。
軽バンのコンパクトさは、都市部や住宅街での小口配送などに適しており、小規模店舗の配達ニーズにも対応しやすいことが特徴です。限られたスペース内でもスムーズに配達できるため、配送業務を効率化できます。
サービス業

引用:日産 クリッパーバン
軽商用車は、工具や機材の収納・運搬に適しています。設備工事や修理、建設現場や工務店の資材運搬、イベント業など幅広いサービス業において、必要なものをすぐに取り出せて便利です。
特に軽バンは、カスタマイズもしやすいので、業務に応じた活用が可能になります。保冷機能を搭載した車両を選べば、生鮮食品や冷凍食品の輸送も可能になるため、飲食店の配達やフードデリバリー用の車両として活用可能です。近年は、大きな家具を運ぶ必要がない単身者の引っ越しや配送サービスなどにも多く使われています。
モバイルビジネス
軽商用車は、その機動性と利便性の高さから、コーヒーやスムージーの移動販売車、イベント会場やマーケットへの出店用フードトラックとして広く活用されています。さらに、軽バンを改装することで、リモートワークに対応したモバイルオフィスとしての利用も可能です。
車種によっては、助手席を倒して以下のようにデスクとして使用することもできます。

引用:日産 クリッパーバン
また、車両の外装を利用して自社サービスや商品の広告スペースとして活用することで、走行中や停車中にも宣伝効果が得られます。場所を選ばず柔軟にビジネスを展開できることが大きな魅力です。
軽商用車の選び方
軽商用車を選ぶときは、以下のようなポイントに注意し、用途に合った車両を見つけましょう。
用途
軽商用車の購入を検討する際は、使用用途に合った車種を選ぶことが重要です。たとえば、荷物の運搬には、荷室が広い軽バンが向いています。業務に適した車種を選ぶことができれば、業務効率を上げることができるでしょう。
日常的に工具や道具を運ぶことが多い、多くのサンプルを配布するなどの用途であれば、荷室の容量は欠かせません。大量の荷物を運ぶことがそれほど多くない営業車などであれば、室内空間や座り心地の良さを重視した方がよいでしょう。
荷室
車両選びにおいて、荷室の使いやすさや積載量は重要なポイントです。たとえば、資材運搬を日常的に行う場合は、荷台が広く、重たい物も載せやすい軽トラックが適しています。また、雨風を防ぎつつ多くの荷物を積む必要がある配送業や営業車などには、荷室が広く、天井高もある軽バンが便利です。
荷物の積み下ろしのしやすさも見逃せない要素です。フラットな床面や低い床高、広い開口部を持つ車両であれば、重量物や大きな荷物でも出し入れがスムーズに行えます。日々の業務効率を考えるうえで、荷室の形状や構造もよく確認して選びましょう。
乗車定員
車両を選ぶ際には、用途に応じた乗車定員も大切な判断材料になります。特に、チームでの現場移動や複数人の送迎など、乗車人数が多くなることが予想される場合は、その人数に対応できる車種を選ぶことが必要です。たとえば、軽バンは一般的に大人4名までの乗車が可能で、コンパクトながら実用性があります。
一方、普通車サイズのバンになると、乗車定員は5名程度となり、少し余裕のある移動が可能です。さらに、大型バンの中には、最大で9名まで乗車できるモデルもあり、学校や福祉施設の送迎、イベント時のグループ移動などに適しています。
サイズ
車両のサイズは、用途や使用環境に応じて慎重に選ぶべき重要なポイントです。大きな車両は荷物を多く積めたり、多人数の乗車に対応したりできるなどのメリットがありますが、必ずしもすべての場面で最適とは限りません。
たとえば、都市部や住宅街の狭い路地を頻繁に通行する場合や、会社や取引先の駐車スペースが限られている場合、あるいは高さ制限のある立体駐車場を利用する機会が多い場合には、コンパクトな軽商用車の方が取り回しやすく実用的です。
コスト
車両を選ぶ際には、初期費用だけでなく、維持費を含めて考慮することが重要です。軽バンは普通車に比べて購入価格が比較的安く、税金や保険料などの維持費も抑えられます。しかし、実際の運用においては燃費の良さも重要です。特に社用車として日々長距離を走行する場合、燃費性能の高い車を選ぶことで、ガソリン代などのランニングコストを大きく節約できます。
また、近年では低燃費のクルマも増えており、初期費用が多少高くても、長期的に見れば経済的負担が軽減される可能性もあります。用途や走行距離に応じて、最適なコストバランスを見極めましょう。
保険・メンテナンス
業務で使用する車両においては、保険料だけでなく、その保証内容も事前にしっかりと確認することが重要です。万が一の事故やトラブルに備え、業務用として適した補償が含まれているかどうかを見極めましょう。
また、車両を長く安全に使用するためには、定期的なメンテナンスも欠かせません。基本的な項目をチェックし、必要な整備を怠らないことが車の寿命を延ばし、突発的な故障を防ぐことにもつながります。
そのほかの機能
移動距離が長い業務や、長時間の運転が日常的にある場合には、快適性や安全性を高める装備も重視すべきポイントです。身体への負担を軽減するシートや、運転支援機能があるクルマは、運転中のストレスを和らげ、安全性を高めてくれます。
近年では軽自動車にもこうした機能が標準装備されているモデルが増えており、事故リスクの軽減につながります。業務効率や安全な運行のためにも、機能面の充実度を確認しましょう。
おすすめの軽商用車3選
ここからは、軽商用車に向いているおすすめのクルマを3つご紹介します。
クリッパーバン

ビジネスをバックアップするのに頼もしい1台となるのが、クリッパーバンです。16.4km/Lの燃費性能に加え、ビジネスに役立つ利便性や快適性を備えています。優れた取り回し性に加え、広々とした荷室サイズで、さまざまな形状の荷物を効率よく積むことができます。
最大積載量の範囲内で使用する前提であり、あくまでも目安となりますが、以下のような積載量があります。
- ・パンケース(680×420×100mm):74ケース
- ・ビールケース(445×365×315mm):40ケース
- ・段ボール(380×310×280mm):69箱
- ・タタミ(中京間・1,820×910mm):9枚

広いバックドア開口部と後席ドアの高い開口部でスムーズな積み下ろしが可能です。また、走行中の衝突回避を支援する装備や踏み間違い衝突防止アシストなど、多彩な安全装備で安心もサポートします。
引用:日産 クリッパーバン
クリッパートラック

優れた取り回しが頼もしいクルマがクリッパートラックです。18.7km/L(5MT車・2WD/4WD)の燃費性能と先進安全装備で安全性も向上しています。作業効率を高める荷台や広々としたキャビンなど、使いやすさを徹底追求した1台です。
最大積載量350kgの範囲内で使用することが前提であり、あくまでも目安となりますが、以下のような積載量があります。
- ・みかんコンテナ(520×365×310mm):54ケース(13ケース×4段+2ケース)
- ・りんごコンテナ(640×320×290mm):48ケース(12ケース×4段)
- ・ビールケース(450×365×315mm):60ケース(15ケース×4段)
- ・タタミ(京間・1,910×955mm):タテ・ヨコ置き可能

タフで錆に強い耐久性の高さを目指し、荷台の基本構造から細部の仕上げまで、徹底してこだわっています。室内幅は1,310mmとゆとりがあり、快適なアームレスト付成形ドアトリムも備えているため、ゆったりと乗車できることもポイントです。
引用:日産 クリッパートラック
クリッパーEV

クリッパーEVは多くの荷物を積んでも、静かでパワフルな走行を実現します。燃料も排出ガスもゼロなので、カーボンニュートラルに貢献できます。フレキシブルに使いこなせる大容量荷室も魅力です。モーター駆動ならではの安定した走りを実現しているため、雪道にも頼もしい1台です。
インテリジェントエマージェンシーブレーキ、踏み間違い衝突防止アシスト(前進のみ)、LDW(車線逸脱警報)、ハイビームアシストなど多彩な先進安全装備を搭載しているため、働く毎日に安心を提供します。
引用:日産 クリッパーEV
まとめ
近年は、小回りが利き、多くの荷物を搭載できる安全性に優れた軽商用車が増えています。今回は軽商用車のメリット・デメリットをはじめ、活用例や選び方、おすすめの軽商用車を解説しました。ぜひ商用車選びの参考にしてください。
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