社用車に中古車を導入した場合の
減価償却とは?耐用年数や計算方法を解説
法人が所有する社用車は固定資産にあたるため、減価償却が必要です。しかし、新車と中古車では減価償却の方法が異なるため、具体的な方法がわからない場合も多いのではないでしょうか。
この記事では、減価償却や耐用年数の仕組み、減価償却を行う際の関連用語、中古車における減価償却の計算方法などを解説します。
中古車を社用車として導入した場合に必要な減価償却とは?
まずは、中古車の会計プロセスに必要な減価償却について、詳しく解説していきます。
そもそも減価償却とは?
減価償却とは会計プロセスの1つであり、財務管理や税務申告において欠かせない手続きです。一般的に、事業に使う資産を長期間使用する際は固定資産に分類されるため、社用車も固定資産に該当します。減価償却は、固定資産が時間経過で失っていく価値を適切に反映させることが主な目的です。減価償却を正しく行うことで、法人の財務状況が正確に把握できます。
減価償却の仕組み
固定資産である社用車は、取得時に経費としての一括計上ができず、減価償却の計算が必要になります。減価償却の対象は、使用期間が1年以上かつ、クルマの取得に要した支出(取得価額)が10万円以上であるクルマです。固定資産とは、事業のために使用するものであり、時間の経過や使用によって価値が減少するものなので、事業で使用する社用車も該当します。
社用車における減価償却は、クルマは使うほど価値が減っていくという考えに基づき、目減りした価値を、利用期間に応じて毎年の経費に振り分けていく処理になります。
中古車を減価償却する際に知っておきたい関連用語
中古車を減価償却するにあたって、必要となる関連用語を3つ解説します。
耐用年数
耐用年数とは、資産として使用可能できる期間です。国税庁で定められた固定資産の法定耐用年数の使用が必要になります。減価償却資産の使用可能期間は種類ごとに決められているので注意が必要です。主な減価償却資産の耐用年数は、国税庁のホームページの「主な減価償却資産の耐用年数表」で確認できます。
取得価額
取得価額とは、固定資産の取得に要した金額を指します。購入価格に加えて、運送費や据付費用などの付随費用を加えることも可能です。社用車の付随費用としては、一般的にカーナビなどの付属品や納車費用が含まれます。契約時に購入代価と手数料が区分されていない場合の割賦販売手数料も該当します。
少額減価償却資産の特例
少額減価償却資産とは、以下に該当する減価償却資産を指します。
- ・使用可能期間が1年未満のもの
- ・取得価額が10万円未満のもの
中古車においては、少額減価償却資産の特例が使えるケースもあります。少額減価償却資産の特例は節税効果の高い特例です。従業員500名以下の中小企業であれば、30万円未満の資産について、年間300万円を上限として買ったその年に一括償却が可能です。
30万円未満の中古車であれば、購入した事業年度にそのまま一括で経費計上できます。少額減価償却資産の特例は、現時点において2026年度末(2026年3月31日)までとなっているので、注意が必要です。
新車・中古車における減価償却の耐用年数
新車・中古車における減価償却の耐用年数について、種別ごとに詳しく解説します。
新車
新車の耐用年数は、国税庁で以下のように定められています。トラックは車両の大きさや用途によって細かく区分されているため、個別の確認が不可欠です。
| 構造・用途 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 一般用 | 自動車(2輪・3輪の自動車は除く) 小型車(総排気量が0.66リットル以下) 貨物自動車(ダンプ式) 貨物自動車(その他) 報道通信用 その他 | 4年 4年 5年 5年 6年 |
| 2輪・3輪の自動車 自転車 リアカー |
3年 2年 4年 |
|
| 運送事業用 貸自動車業用 自動車教習所用 |
自動車(2輪・3輪の自動車を含む。乗合自動車は除く) 小型車(貨物自動車は積載量が2トン以下、その他は総排気量が2リットル以下のもの) 大型乗用車(総排気量が3リットル以上のもの) その他 乗合自動車 自転車・リアカー 被けん引車その他 |
3年 5年 4年 5年 2年 4年 |
中古車
中古車は、以前はほかの人が使用していたクルマです。使用頻度やコンディションが不明確になりやすいため、新車とは異なった計算方法になります。新車の耐用年数は、一般用で普通自動車は6年、軽自動車は4年とされていますが、中古車は法定耐用年数の期間が過ぎているかどうかによっても、計算方法が異なります。
中古車の耐用年数の計算方法
中古車の耐用年数は、以下のような計算方法で求めます。法定耐用年数期間内か法定耐用年数期間を超えているかで計算方法が異なるため、注意が必要です。
法定耐用年数期間内の場合
クルマを新規登録してから、何年経過しているかを求めます。一般的な耐用年数を定める「簡便法」という方法を用います。計算式は以下のとおりです。1年未満の端数は切り捨てます。計算結果が2年以内の結果となった場合の耐用年数は2年です。
・中古車の耐用年数=(法定耐用年数 - 経過年数)+(経過年数 × 0.2)
- ※参考:中古資産の耐用年数|国税庁
法定耐用年数期間内の耐用年数計算の具体例
4年落ちの普通自動車の中古車でシミュレーションをしてみましょう。法定耐用年数が6年、経過年数が4年だった場合、以下のような計算になります。計算結果は2.8年ですが、1年未満の端数は切り捨てるため、この場合の耐用年数は2年です。
・(6年 - 4年)+(4年 × 0.2)= 2年 + 0.8年 = 2.8年
法定耐用年数の期間を超えている場合
中古車の法定耐用年数を越えているケースにおいては、以下の計算式で求めます。
・中古車の耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2
実際はどうなるのか、耐用年数をシミュレーションしてみましょう。経過年数が7年の普通自動車の中古車を想定すると、法定耐用年数は6年のため、0.2をかけて1.2年となります。
・6年 × 0.2 = 1.2年
最低耐用年数の規定により、計算結果が2年未満のケースは、耐用年数は2年とされているため、上記のケースでは耐用年数が2年となります。
経過年数による車種別の耐用年数一覧
先に解説したとおり、中古車の耐用年数は以下の「簡便法」を用いて計算します。
・(法定耐用年数 - 経過年数)+(経過年数 × 0.2)
経過月数による耐用年数は以下のとおりです。
| 軽自動車の新車登録からの 耐用年数 |
1か月~15か月:3年 16か月以上:2年 |
|---|---|
| 普通自動車の新車登録からの 耐用年数 |
1か月~15か月:5年 16か月~30か月:4年 31か月~45か月:3年 46か月以上:2年 |
クルマを減価償却する際の計算方法
減価償却や耐用年数の仕組みがわかったところで、クルマを減価償却する際の計算方法について、方法別に紹介します。
定額法
定額法は、取得したクルマの法定耐用年数の期間内に、毎年同じ金額を償却する方法です。計算式は以下のようになります。
・減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率
定額法の償却率は「1 ÷ 耐用年数」で算出できます。事業年度の途中でクルマを購入したケースなど、1年間を通じて一度も使用されなかった場合は、月数に応じた按分が可能です。月数按分の計算式は以下のようになります。
・クルマの取得価額×定額法償却率×クルマを使用した月数÷事業年度の月数
定率法
定率法は、初年度に多くの償却を行い、年々金額が減っていく方法です。早期に経費計上が進むというメリットがありますが、事業状況の収支状況に応じて選択することが重要です。初年度は以下のように計算します。
・クルマの取得価額×定率法の償却率×クルマを使用した月数÷事業年度の月数
2年目以降の計算は以下のようになります。
・(クルマの取得価額−減価償却累計額)×定率法の償却率×クルマを使用した月数÷事業年度の月数
なお、定率法の償却率は「減価償却資産の償却率等表」より確認できます。
- ※参考:減価償却資産の償却率等表|国税庁
新車と中古車における減価償却のシミュレーション
新車と中古車における減価償却の違いについて、シミュレーションしてみましょう。
新車の減価償却
300万円の新車(耐用年数6年)を購入し、初年度から1年間にわたって使用した場合は以下のようになります。
| 定額法 | 300万円 × 0.167(耐用年数6年) × 12/12 = 501,000円 |
|---|---|
| 定率法 | 300万円 × 0.333(耐用年数6年) × 12/12 = 999,000円 |
定額法は毎期均等に費用が按分されますが、定率法は毎期一定の償却率を乗じるため、初年度に計上される費用が割高になります。
中古車の減価償却
250万円の中古車(4年落ち)を購入した場合、定額法では耐用年数2年の償却率は0.5となるため、1年目と2年目は以下のような計算方法になります。
・250万円 × 0.500 = 125万円
一方、定率法は未償却残高に償却率をかけて償却します。耐用年数2年の償却率は1.0のため、1年目に全額計上が可能です。
・250万円 × 1.000 = 250万円
上記の定率法の場合は、短期間での経費化を希望する場合には有利といえるでしょう。
中古車を経費で購入する場合に4年落ちが良いと言われる理由とは?
たとえば、250万円のクルマを購入する場合、新車であれば6年かけて減価償却を行い、経費計上しなければなりません。中古車の場合は、登録から4年が経過したクルマは耐用年数が2年になります。定率法を用いれば、先に解説したとおり耐用年数2年の償却率は1.0のため、以下のような計算式となり、1年目で全額計上が可能です。
・250万円 × 1.000 = 250万円
期首に購入すれば1年目に経費として全額計上できるため、会計処理に手間がかからないだけではなく、その期の法人税の節税にもつながります。
中古車を減価償却する際の注意点
中古車を減価償却する際は、以下のようにいくつかの注意点があります。どの項目も重要なので、見落とさないようにしましょう。
取得時期と決算期に注意する
減価償却は年単位ではなく、月数按分で行われます。取得日の時期によって計上できる金額が異なるため注意が必要です。取得日が事業年度の初月なら、すべて経費として計上できます。取得日が年度の途中の場合は、事業年度中の残り月数のみを計上しなければなりません。
たとえば、事業年度の最終月に中古車を購入したら、1か月分のみの経費計上となってしまいます。残りの11か月分は次年度の経費として計上しなければならないため、中古車を社用車として購入するなら、事業年度初めがおすすめです。
資本的支出に注意する
中古車を購入した後に高額な修理や改造を行うと、内容によっては資本的支出とみなされる場合があります。
資本的支出が再取得価額の50%を超えると、国税庁の定める法定耐用年数が適用されるため、注意が必要です。再取得価額とは、中古資産と同じ新品の資産を購入した場合の価額を指します。
たとえば、中古車を購入し、修理費や改造費が購入したクルマと同じ新品モデルの50%の価格を超えると、新品と同様の法定耐用年数を適用する必要があるということです。大規模な修理や改造をすると、中古車ならではの節税メリットを失うことがあるので注意しましょう。
取得価額に含むもの・含まないものに注意する
固定資産の取得価額には「含む費用」と「含まない費用」が法律上で定められています。中古車の取得価額に「含む費用」としては、以下のようなものが挙げられます。
- ・車両本体価格
- ・オプション費用
- ・納車費用
以下のような中古車の取得価額に「含まない費用」に関しては、別の勘定科目で処理する必要があります。
- ・自動車重量税
- ・自賠責保険料
- ・自動車税(種別割)
- ・自動車税(環境性能割)
- ・車庫証明手数料
- ・検査登録(車検)費用
少額減価償却資産の特例が受けられる法人は、クルマを購入した後に、30万円未満のオプションなどを後付けすることによって節税できます。
税務調査で指摘されるケースに注意する
社用車はあくまでも業務利用が目的のため、以下のように業務との関連性を証明できないケースは、税務調査の際に税務署から指摘が入るケースがあります。
- ・高級車など趣味性・嗜好性が高い
- ・プライベート利用が疑われる
- ・業務にほとんど利用されていない
- ・クルマを頻繁に乗り換えている
万が一、税務調査の際に指摘を受けても証明できるように、日頃から必要性を明確にし、使用記録や走行記録をつけておくとよいでしょう。
ローン返済額に注意する
中古車を社用車として購入する場合は、現金一括の支払いではなく、ローンでの購入も可能です。ただし、ローン払いでも減価償却は行う必要があります。月々支払うローン金額の元本は減価償却で行い、ローンの支払利息は経費として計上します。
カーリースも検討してみる
法人で社用車を検討する際は、新車や中古車の購入に加えて、カーリースという選択肢もあります。カーリースは、所有権がリース会社にあるため、減価償却の計算が不要です。カーリースは初期費用の負担がかからないだけではなく、クルマにかかる費用を当年度の経費として一括計上できます。
また、カーリースは車検などのメンテナンス費用も含めて経費計上できるため、税金や保険などの事務処理が不要です。経費処理の手間もかかりません。
まとめ
法人が社用車を購入したら、新車・中古車を問わず減価償却の計算が必要です。中古車は特に、法定耐用年数期間内なのか、期間を超えているのかによっても計算方法が異なるため、注意しましょう。今回ご紹介したシミュレーションや注意点を参考にしてください。
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